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日々のよしなしごと

英国ミステリードラマの世界 その1

NFLシーズンオフの時間消化は英国ミステリーを視聴しています。以前は、NHK BSPで観るのがもっぱらでしたが、最近は prime video やBS11でも無料で観ることができるようになり助かります。

 

英国ミステリーは、主に公共放送のBBCと民放のITVが制作しており、どちらも甲乙つけがたい出来栄えです。共通して言えるのは、主人公や脇役の個性が際立ち、人物描写が秀逸で視聴者が思わず引き込まれてしまうことです。以下は私が面白いと思ったドラマです。3回に分けてご紹介します。

 

『刑事フォイル』 Foyle's War

ITV制作。第二次世界大戦中のイギリス南部の海沿いの町ヘイスティングスを舞台に、警視正クリストファー・フォイルと巡査部長ポール・ミルナー、運転手サマンサ・”サム”・スチュアートが数々の事件捜査にあたる姿を描いた傑作ドラマシリーズです。NHK BSPで日本語吹き替え版が放送された際には、サマンサ・スチュアートを声優の山根舞さんが担当しましたが、人物像にぴったりの声質で印象に残りました。

 

脚本は、近年の推理小説界の巨匠アンソニーホロヴィッツが担当。ホロヴィッツの代表作『カササギ殺人事件』 Magpie Murders は、世界中でベストセラーになっています。

 

この作品が私のイチオシです。なによりも主人公フォイルの物静かで謙虚な英国紳士ぶりが魅力、脇役の2人も棘のない穏やかな性格に描かれています。物語は静かな田舎町で発生する事件を淡々と描写しており、ミステリーにも拘らずある種の詩情、哀愁が漂う作品になっています。ミステリードラマ史上、最高傑作だと思います。

 

名探偵ポワロAgatha Christie's Poirot

ITV制作。ご存じアガサ・クリスティー原作、名探偵エルキュール・ポワロを主人公としたテレビドラマ。NHK BSPで繰り返し放映されている名作です。1989年から24年間で全70話が制作されましたが、全作品を何度も観ています。

 

ミステリーファンなのでもちろんアガサ・クリスティーは全作読んでいますが、原作に忠実にドラマ化されているのがこのシリーズの魅了。主人公ポワロを演じたデヴィッド・スーシェの姿がもはやエルキュール・ポワロそのものと定着しています。原作に忠実なことは『ナイル殺人事件』を観ると分かりやすい。同名の映画(1978年版)がありますが、配役こそ違えストーリー展開はまったく同じ、どちらも原作に忠実に制作されていることがわかります。

 

『主任警部モース』 Inspector Morse

ITV制作。イギリスの推理作家コリン・デクスターの『警部モース』シリーズを原作としてドラマ化されました。8シリーズ全33話制作されましたが、日本ではNHK BSPで9作品(第1〜5話、第7話、第29〜31話)だけが放映されました。比較的地味な作品で、あまり強い印象はありません。

 

『刑事モース 〜オックスフォード事件簿〜』 Endeavour

ITV制作。刑事ドラマ『警部モース』からのスピンアウトで、主人公モースの若かりし頃、オックスフォード市警の犯罪捜査課の巡査になったばかりの頃(1960年代後半)を描いています。2012年のパイロット版から2021年の第8シリーズまで全33話が制作されていますが、日本ではNHK BSPでパイロット版と第1〜5シリーズの17話が放送されています。Endeavourはモースの名前(Endeavour Morse)です。NHK BSPでは『主任警部モース』より先に放映されたので本編の『主任警部モース』よりこちらの方が印象が強く、面白かったように思います。

 

主演はショーン・エヴァンズ、モースの上司でメンター的役割のベテラン捜査官フレッド・サーズデイ警部補(ロジャー・アラム)が登場し、駆け出しのモースを支えます。犯罪捜査の謎解きとともに、モースの身の上に起こる様々な境遇の変化が見どころです。

 

 

今回は代表的な英国ミステリードラマを紹介しました。図らずもITV作品ばかりになりましたが、BBCを含め英国ミステリードラマは登場人物の個性と舞台背景が丁寧に描かれ、映画と遜色ないレベルに仕上がっているところが魅力です。

 

このようなミステリードラマは、CSのWOWOWやAXNミステリーの方がより多く視聴できますが、年金生活者なので追加コスト負担のないBSとprime video で見られる範囲に限定しています。