Magpie Murders by Anthony Horowitz
サンデータイムズ戦後ミステリ100選
NFLシーズンが終わったのでミステリーファンに戻り、Sunday Times 100 best crime novels and thrillers since 1945 の読書に舞い戻ってきました。子供の頃からミステリー好きでコナン・ドイル、アガサ・クリスティ、G.K.チェスタトン、エラリー・クイーンなどの海外ミステリーの古典に親しんできました。最近は読書量もぐっと少なくなって、気が向いたときに暇つぶしに読む程度ですが、そんなときの目安にしているのがこのリストです。
2019年5月11日にタイムズの日曜版チームが選定したこのリストには、アガサ・クリスティやジョルジュ・シムノンから最近の北欧や日本の先端作品まで100冊が選定されています。なかには、グレアム・グリーン『第三の男』、フレデリック・フォーサイス『ジャッカルの日』、イアン・フレミング『カジノ・ロワイヤル』、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』、ジェイムズ・エルロイ『LAコンフィデンシャル』、フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』など映画化されてそれで見た作品や、ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』、トム・クランシー『レッドオクトーバーを追え』、スティーグ・ラーソン『ドラゴン・タトゥーの女』など発刊当時に評判になったので既読の作品(映画も見ています)もありますが、多くは知らない作品です。
私は、2002年頃からペーパーバックを読むのを趣味としていて、J.R.R. トールキンの『ロード・オブ・ザ・リング』三部作をはじめこれまで100冊以上を読んでいますが、Kazuo Ishiguro "The Remains of the Day" などを除き、そのほとんどはミステリーです。現在は年金生活者なので読書に費やするお金は極力節約したいと考えており、ほとんど全てを横浜市立図書館の蔵書に依存しています。上記100選を読むにあたって選択の優先順は次のとおりです。
① 原作のペーパーバック(原書)が図書館にある場合はそれを優先(横浜市は国際都市なのでかなりの量のペーパーバックを所蔵しています)
② ペーパーバックがなく、翻訳本が所蔵されている場合はそれを選択
③ 原書・翻訳本とも所属されていないが同じ作家の別の本が見つかった場合は、極力類似する作品(例:同じシリーズ、発表日付が近い)を選択、その場合も原書>翻訳本の順で選択
④ 同一作家の本が全く見つからない場合は、やむをえず Amazon で原書(Kindle)購入(100選のうち22冊は未訳です)
このようにしてこれまでほぼ半分の作品を制覇しました。原書を優先するのは、やはり臨場感が違うからです。
同時代作品
表題のMagpie Murders (訳題『カササギ殺人事件』)は、「このミステリーがすごい!2019」で1位、「本格ミステリベスト10」でも1位となった作品です。「なのに」なのか、「だから」なのかはわかりませんが、原書のペーパーバックはこれまで誰も借りた形跡がありませんでした(ラッキー!)。
ニューヨーク・タイムズの表現を借りれば "a double puzzle" 、デイリーミラーの表現を借りれば "multi-layered thriller" の凝った作りです。フォントだけでも4種類、手書きを含めれば5種類?使っています(詳細は読んでのお楽しみ)。
作者のアンソニー・ホロヴィッツはご存知の方も多いと思いますが、イギリスの小説家・脚本家で、私自身が好んで視聴するテレビドラマの『名探偵ポワロ』『バーナビー警部』『刑事フォイル』(私の一番好きなBBCミステリー)などを手掛けたことで知られています。この小説の中でも自身の作品があちこちで言及されており、登場人物が飲むウイスキーの銘柄など共通点が多いので、"whodunit" としては普通の出来上がりですが、同時代人(年齢は私より5歳下)として共感できるところの多い作品に仕上がっています。お勧めです。